丹 沢 通 信  No.19  2001. 1.22.
ニュージーランドのトレッキング−続 あれこれとこぼれ話を
いたずらもののケア 地味な姿だが飛
ぶと翼の下が派手な色できれい。

最初にお詫びです。前回の丹沢通信の番号で、本文は正しいのですが、発信の標題でNo.19と間違えました。ごめんなさい。(-_-;)
第18号の続きでトレッキングのこぼれ話です。ニュージーランドは初めてで、見るもの、聞くもの珍しい・・・という訳ではありませんが気のついたことを書いてみましょう。私にとって珍しいと思っても読者の皆さんの中にはとっくに知っているよ、ということがあるかも知れません。そのときはご勘弁を。

空から
 空路の最終地クイーンズタウンを上空から見たときはびっくりしました。周囲の山々は荒涼たる禿げ山なのです。初夏だというのに黄色く草が枯れております。緑は山麓の僅かな林だけ。農業国=緑のイメージから程遠い風景でした。
空港からトレッキングの基地テ・アナウまで車で行きますが、道路の両側は広大な放牧地です。荒涼たる禿げ山と見えたのは未だ草が生えていない放牧地だったのです。多分入植の時に原生林を皆伐して放牧地に変えたのでしょう。とてつもない自然破壊です。今ならアマゾンや熱帯雨林のように問題になったでしょう。
そして、この広大な放牧地を見ていると日本の農業が心配になります。

羊と牛と鹿
 放牧地には羊が圧倒的に多く、牛が多少、そして少ないですが鹿も放牧されています。米国向けに最近増加しているようです。丹沢や日光・尾瀬で鹿の食害に困っていることを思い出しました。(丹沢の鹿を米国に輸出しようというのではありません、念のため)

食品はさすがにバカ安
 家内とスーパーマーッケトを覗きましたがさすが農業国だけあって肉、バター、チーズは驚くほど安いです。(私はビールとワインも安いことを発見) ホテルで飲んでもビール小瓶が(210−370円)。健康のため飲み過ぎないように注意しましょう(^_^;

オークランドでお世話下さったガイドによれば物価は安く、一ヶ月5万円もあれば生活出来るそうです。でも就労機会が少ない、賃金も安いとかでそれなりにバランスがとれているようです。
 日本で年金もらってニュージーランドで暮らす・・いいと思いますヨ(*_*)

女性は元気
 国内の山では女性が6−7割。今回のツアー参加者は男性が2名、女性が7名、さらにツアーリーダーも女性。しかも女性の方々はアフリカのキリマンジャロや南米のパタゴニアなど錚々たる経歴の持ち主ばかりでした。ミルフォードトラックの事務所で1人、ロッジで2人の日本人女性スタッフに会いました。テ・アナウのコロミコ・トレックの女性スタッフも親切で元気溌剌。女性って元気ですネー ( ^o^)/~~

なぜシャツが安い?
 読者の一人から現地でポリエステルのシャツが安いと出発前にメールで教えて頂きました。農産物じゃあるまいし、化学繊維ですから半信半疑でした。ところが現地で買うと確かに安いのです。襟つきが2400円、襟なしが1900円、そして柄物もあります。お土産に8着、自分達用の追加に5着買ってしまいました。(日本人経営旅行業社コロミコ・トレックがお得)
日本で買えるものを海外で買う・・・日本経済の回復に協力しないようで申し訳ない m(_ _)m のですが品揃えと価格にこうも差があっては・・・。このシャツの良さは皆さんご存じでしょう。ゴルフショップが扱わないのが不思議です。

 ニュージーランドでは夏でも急に寒くなるということで最近は純毛のシャツが好まれるようになっています。天然繊維ですから肌に優しく、汗臭くなりにくいとか。何れ日本でも流行るでしょう。

休暇の過ごし方
 トレッキングの話に移りましょう。トレッキングに参加するのは世界各国からで、私達のツアーで一番多かったのはアメリカ人でした。最初の日のロッジでは3寝室が1棟になっており2寝室を日本人で、8ベットの1寝室をアメリカ人が使いました。父親同士が高校以来の友人という子連れの2家族で、休暇が何と4週間! ニュージーランドの北端からワゴン車(キャンピングカーだったかしら)でで順次南下し、このトレッキングの後は1週間オーストラリアだそうです。ウーン。
ニュージーランドは地質のせいか日本に比べ花の種類は少ない。これはマウントクック・リリーと言われる代表的な花。リリーと名がつくが百合科ではない。

若いアメリカ女性
 ミルフォードとルートバーンの両方に若いアメリカ人女性が3人参加していました。一人は日米のハーフで杉並に住んだことがり日本語が話せます。彼女の連れが1年前から友人のインド人女性、もう一人の単独参加の方は背丈が私達程度の童顔でした。最後の夕食会で私の前に3人が座ったので通訳を介しての会話です。彼女達が私の職業を聞きますので元セラミック・エンジニアと答えましたら童顔女性が建築、インド人は情報、そしてハーフはイラストレーターでした。皆キャリアウーマンですね。

インド人女性の憂国の思い
 そのインド人の現在の就職先が著名は通信ネットの会社でそれまでIBMなどを転職しております。私がその会社の名前は知っており、著名であることインド人は数学に優れ情報通信の分野で多くの人が活躍していると言いますと、彼女は横を向いて自分の頭を指さし「私の中身はカラッポ」とジョーク。
 でも真面目になって、インドの最高レベルの人達はアメリカに渡ってしまう。インドにとって悲しいことです。マネーだけの問題ではない、能力を発揮できるかだ、と。身はアメリカにあっても祖国を深く憂いていました。

白人はブヨに強い  今回のトレッキングで最高の発見の一つは「白人はブヨに滅法強い」ということです。肌の色の濃い方が強い、となんとなく思っていたのですがこれは大間違いでした。このトレッキングではブヨがやたらと多いのです。ミルフォードの徒歩の終末点がサンドフライ・ポイントというくらいです。私は小学生のころ田舎で過ごしブヨには慣れていた筈ですが、こちらのブヨは小型の蚊に似て刺されれる痒みが何時までも残ります。虫よけのクリームを塗るのですが何のその、どんどん寄ってきます。顔の前で手でブヨを払っているのは我が同胞だけ。白人はヘイッチャラ。痒くないのかと聞きましたら「1分我慢すればそれでお終い」とのこと。

白人は暑がりや  初夏といっても緯度を比較しますと北海道・稚内に近いので日陰では肌寒いくらいです。私達はブヨ対策もありますが長袖シャツ、長ズボンと完全武装です。白人達の中には半ズボンが多く、女性の中には肩まで露出している人もおります。雨が降ってもカッパは上だけで足は濡れるに任せています。
 「なんでそんな大げさな服装をしているの?」と彼らは不思議がりますが、日本人は寒がりで白人は暑がりなのです。ツアーリーダーの柿沼さんがスイスの山小屋で、またワーキングホリディで来た若い日本人がバスで経験し、同じ意見で、彼らは暑がり!
 2泊ずつしたテ・アナウ、ワナカは大きな湖に面したリゾート町ですが、私達が小寒いと感じる中で子供達は湖に飛び込んだり泳いでおりました。温度感覚が数度は違うように思います。

ケア(kea)にcare(注意)  オウムの一種で小屋のあるところに餌を求めて飛んできます。いたずら好きで最初に注意されますのはこの鳥に靴を盗まれないようにすること、餌をやらないことです。出発時の事務所の日本人女性スタッフの説明では、栄養価の高い人間の食べ物で、鳥も高脂血症になり寿命が短くなっているとのことでした。
 さらに彼女曰く「鳥の高脂血症を笑っているが、明日は我が身、肉と脂の食事が続きますので皆さんもトレッキングが終わったら体重が増えていますよ」と驚かされました。でも心配要りません。ニュージーランドの食事は私達に合わないのでシャリバテにならない程度にしか食べませんで微増で収まりました。メデタシ、メデタシ。
 ニュージーランドの味が日本人に合わないと聞いていましたので持参した醤油が役に立ちました。現地のホテルは無論、ロッジにも亀甲萬醤油の小瓶は備えられていますが、現地の方の舌に合うように作られており、日本の醤油とは若干違います。(一説によるとシンガポールで製造とか)

個人の尊重  食事の話を続けますが、個人毎の好みと量はそれぞれ違いますし、その違いに対応できるようになっております。ルートバーンでは限られた食材の中から朝のベーコンエッグの卵は一つか二つかを予め聞いて調理し、ベーコンはフライパンの中を見て大きいの、小さいのと指定できます。菜食主義者2人の為に別メニューが用意されていました。飲み物の種類が多いのは前に述べました。昼の弁当のサンドイッチは自分で作ります。スライスしたパンのほかベーコン、ハム、煎り卵、レタス、トマト、その他の食材を使って自分の好きなサンドイッチに仕上げます。私なんかはバターを塗ったパンの上にレタスと1枚のハムで適量ですが、10cmくらいの厚さのサンドイッチを作る人もおりました。
 個人の尊重=自己責任でしょうか。日本の山ツアーと違って参加者の幅が広いと思います。ミルフォードでは74歳から小学生まで、ややきついルートバーンでは隻腕で年配の男性が皆と同じように歩いています。哲学者を思わせる風貌のこの男性を見ておりますと人間の可能性なんて大げさのことを考えてしまいますが、とかく元気が貰えます。

天候に恵まれて  トレッキングコースのあるフィフィヨルドランドは雨の多いところです。年間降水量が屋久島の6000mmに比べ7000mmです。ホテルや船に残されたサイン帳には「今日も雨だった」といった日本人の嘆きぶしも書かれていました。私達はミルフォードで半日、ルートバーンで最終日(約半日)の雨という恵まれた天候でした。地元の方からも運が良かったですネーといわれました。屋久島に1カ月行って30日晴れたようなものです。

柿沼さんのこと  今回のトレッキングが良かったのはツアーリーダーにも恵まれたことです。柿沼さんはスイスのツエルマットに住み、山のガイドです。一時帰国の際にこの仕事を引き受けられたそうです。ニュージーランドでゆっくりトレッキングという目的にぴったりのリーダーでした。参加者の行動を見極めていて、お節介でもなく放ったらかしでもなく、優れたお世話ぶりでした。
 旅行社のツアーは旅行社の決めたメニューを客が選ぶ形ですが、柿沼さんは客のニーズに沿ったプランを建てて案内しますというガイドです。ツアーには組まれず、日本人があまり行かないところで、よいところが沢山ありますヨ、とのことでした。昨年刊行された柿沼さんの著書もあります。
   「アルプスのちいさな村で暮らす」双葉社
 また関心のある方はWebページをどうぞ http://www.plactn.co.jp/cvm
トレッキングが終わってからオプションでマウントクックを空から見た。写真は山頂。そう少し広角で撮ればと悔やまれる。標高は富士山より12m低いが氷河に囲まれ圧倒的な迫力であった。

TOMOKOさんのこと  柿沼さんの次はTOMOKOさんのことです。両トレッキングとも参加者とガイドは姓でなく名を書いた名札を胸につけます。私でしたらHIROSHIです。ですからTOMOKOさんが友子さんか智子さんかわかりません。勿論姓も。TOMOKOさんは前報で重い荷物を背負って走る元気な日本人ガイドと書きました。トレッキングの終わり近くになって私が「TOMOKOさんはガイドが本職ですか、主婦が本職ですか?」と質問したことから彼女の生き方のほんの一端を知り、強い感銘を受けました。(彼女は昔、鍋割山山に登っており、若くてハンサムは草野さんを知っております)
 彼女には16歳の息子さんがおり、二人で山に登られるそうです。ニュージーランドでは18歳になると親元を離れ独立するのが普通だそうです。独立とは経済的にもです。大学に行きたければ学生ローロンで行けます。小さな時から少しずつ教育して自分なりの価値観を持つようして、そして独立するのだそうです。日本の子離れの遅い現状と比べるとたいへんな違いです。
 TOMOKOさんによれば10年前に政府が代わって、貧しいが平等の社会から、繁栄するが貧富の差が大きくなった社会に、目に見えて変わったそうです。その代わり治安がやや悪くなったと言っております。治安が悪くなったと言っても国内航空では荷物も身体チェックもありません。
 クインズタウン、ワナカ、テ・アナウの町で何れも建築が盛んに行われています。リゾート地ではホテルが満室の札もでておりました。確かに景気がよいのですネ。
 我が国では過去10年間・・・失われた10年と言われていますが。

  花を摘む  女性の続きです。氷河を見に行くハイキングがありましてニュージーランド人女性がガイドにつきました。きれいな日本語です。学校で日本語科に学んで会話できるようになったとのことです。(ニュージーランドでドイツ語を学んでもビジネスチャンスが少ない)
 ハイキングの帰り道、家内ともう一人が自然の呼び声に誘われて岩影に隠れました。彼女「紙を残さないでネー」そこで私が学校では絶対に教えていない日本語を紹介しました。「花を摘む」です。そこに歩いてきた柿沼さんが「雉を撃つ」も教えました。以後、彼女、花を摘みに行ったら紙を残さないでネ」とみやびやかに言われているかも知れません。

たくましき旅人たち  今度は我が同胞の男達の話です。私達が泊まっているワナカのホテルに大型バスが到着して30人ほどの若い男達が降りました。庭の芝生のテーブルを囲んでビール瓶1本でワイワイガヤガヤの賑やかなオシャベリの中に日本人が一人いました。彼から、ワーキングホリデーでオークランドで働いていること、彼らの会話が早いので苦労すること、このバスツアーは決められた各地のストップ点で勝手に乗り降り出来、従って乗客は絶えず入れ替わることなどを話してくれました。異郷ただで一人、しかも各国の若者グループに積極的に交わって過ごす・・・・強靱な精神力ですネ。
 もう一人、今度は熟年者です。ザックと大きな鞄を肩から下げて歩いていました。定年になったのでユースホテルに泊まって旅行をしている。これからマウントクックを見にバスで行くのだと。エライ!

土曜日の祝日  話はがらっと代わります。丹沢通信第17号で土曜日と祝日が重なったとき、交通機関のダイヤが祝日になるのに気づかなかったと書きました。読者の一人から同じ日(2000/12/23=土曜日・祝日)に奥多摩の三頭山に行かれ帰途のバス時刻で私と同じ失敗をされたとメールを頂きました。
 土曜日と祝日が重なる日は少ないです。皆さんもお気をつけ下さい。

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