スイスの知られざる田舎を歩く

2007. 7. 7.-15

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雪の峠越えもあって

 今年の海外山行はスイスの日本ではあまり有名ではない田舎を拠点に歩きました。それぞれ特徴があって 面白い旅行でした。毎年お世話になっているスイスの日本人経営の 旅行業者CVMの企画で、参加者は私達夫婦を含めて10名、 ツール・ド・モンブランピレネーで ご一緒になった顔なじみ方々が多数でした。

丘陵地帯の牧畜と伝統の村 アッペンツェル(チューリッヒ東70km)

 チューリッヒ空港に関東や九州から、既に滞在されている方も含めて現地集合です。空港から専用車で アッペンツェルのホテルに直行しました。この村は伝統が強く残っていると言われており、その一つが左の 写真にあるような屋根の形です。切妻形の屋根が2段に折れて、下部が湾曲しています。妻側の壁の絵も 家毎に変わっています。
 着いた日は丁度祭りなのか、名家の結婚式があるのか、広場に大勢の着飾った人であふれていました。 日本の平安時代の衛士が耳の後ろに扇のような飾りをしていますが、これと似た髪飾りをした中年の女性を 見かけました。これも伝統の一つです。
 広場と書きましたが、この州は年に一度、この広場に有権者全員が集まって青空会議が行われ、議案に対して 有権者の挙手で賛否を投じる伝統も残されているようです。
 牧場で気球を上げる準備 青空会議の行われる広場

 この村のホテルで3泊以上滞在すると、地域の電車、リフト、村の博物館入場料が無料になります。 長く留まって金を落として貰いたいということでしょう。このサービスで翌日、翌々日色々と利用しました。  また私達が訪れた時、熱気球の大会があって、朝、気球を上げる段取りなどが見られました。

 通りに面する店では壁から腕木を出し商売を表す飾りをつけていました。下の右端は大工(今様に言えば 工務店)と分かりますがあとは説明が要りますね。


エベナーアルプ山からゼーアルプ湖までのハイキング

 翌日、電車とロープウエィリフトでエベナーアルプ展望台に上ります。上ったら雨になり満員のレストランの軒を 借りて様子見、小降りになり西の空があかるくなったのを確かめて予定通りゼーアルプ湖までのハイキングです。
 山頂からは斜めに下りますがかなり急坂の場所もあります。途中で岩壁の暗い洞穴を伝わって下る滑りやすい道があり ます。この洞穴を過ぎると洞窟の教会で今日は大勢の信者が集まっていました。写真を撮るのも憚れるような 敬虔な雰囲気でした。
山頂から見たゼーアルプ湖下る途中に暗いトンネルがあり、越えると洞窟の教会に到る 教会を越えて絶壁の道、これは茶店で兎を飼っていた

 花々を左右に見ながら緩急の下り道を斜めに下って湖畔に着きます。ここで昼食。 晴れていたので庭の日傘の下のテーブルで食事です。終わりころ風吹き急に雨が降って レストランに逃げ込みました。雨宿りで大勢の人でした。
 雨が止んでから湖を一周です。湖の向こう側は平坦な牧場です。  レストランの場所に戻り、ワッセンロウエン駅まで歩き、電車でホテルに帰ります。  ホテルに戻ってから夕方通りにでましたら大勢の日本人観光客であふれましたが間もなく消えてしまいました。 この村にはホテルが数軒ありますが大きなホテルはなく、普通の規模のツアーでは泊まれないようです。


湖畔のレストランに到着、ここの庭で昼食

昼食の終わる頃に急雨でレストランの中に逃げ込む。

 ↑ 左写真の奧の山を望遠で撮る。高いポールと建築物が見られるが何か分からない
← 昼食前に湖面に映る峰を撮影、あとでは雨と風で湖面には映らなかった


世界遺産の図書館  翌3日目も朝から小雨、電車とロープウェーでクーロンブルグに上るが雨とガスで何も見えない。 予定を変更して電車でセントガレンに行き世界遺産の図書館と大聖堂を見ました。
ロープウェーで降りたら雨は小やみ、未練を残して戻る。丘陵地の農場 雨に濡れたセントガーレン市街 世界遺産の図書館の天井画


ラインの滝からガステル谷へ

 地図で調べるとチューリッヒから西北西に約60kmにライン河の滝があります。 落差は小さいので滝の直ぐ傍まで行けて落下する大量の水と水煙の迫力は素晴らしい。 ここの土産物屋で日本人が働いていました。
滝を見る所への入口で奧の石積みの建物の一階は土産物屋です 階段の途中で滝の全貌が見られます。この写真の左下に階段が通じます 階段の先が河に突きだした展望スペースで、目の前の奔流は迫力があります


 ここから少し戻ってシュタイン村に入ります。建物に壁画が沢山描かれていますが セガンチーニの書いた画もあります。道に沿った建物を背景に利用した野外劇場の準備中 でした。ライン河の川縁のレストランで昼食。
滝見台に立つと頭上から水が落ちてくる シュタイン村のレストラン 左側は野外劇場の仮設見物席の裏側 セガンチーニの壁画がある建物、右側は仮設見物席の裏

 スイス西南部、レマン湖の東約60kmのカンデルステグに車で移動し、カステル谷の住民専用の 山道をガステル谷に行きます。ホテルと山小屋の中間のようなSeldan Hotelに着きました。 夕方谷の奥の方へ散歩しましたが、奧の方にもホテル兼業の農家がありました。
シュタイン村を流れるライン河、この河畔のレストランで昼食 カステル谷を奧に散歩、山腹には農家が見られるスイスの風景であるが経営は 苦しくないのであろうか 翌日登るロッチェン峠の方向

雪のロッチェン峠越え

 下の写真に示すような規模でシャワーとトイレが共同です。幼い子が薪を運んだりして旦那さんが調理、 奥さんと姪っ子が配膳の家族で経営しています。屋外に手作りのボーリングレーンまであります。
 翌朝小雨が降ったり止んだりの天候です。今日は今回のツアーで最大のイベント、ロッチェン峠越え です。同行者のザックに着けられたテルテル坊主にお願いです。
早朝背後に見えるホテルから散歩、間もなく雨で戻る 同行者のザックに着けられたテルテル坊主、スイスの旗まで持っているが功徳は・・ ロッチェン峠に登る途中から見下ろすガステル谷のホテル


 沢に沿って少し下り吊り橋を渡るとジグザグの登り道です。下から見えた2軒の山小屋の脇を通ります。 下をみると昨夜泊まったホテルが見えました。ここを越えるとホテルのある谷は見えなくなります。  ガスがかかって雨から小雪に変わり道も雪道になります。登り始めてから3時間、氷河の手前で休憩中にガイドが 前方を偵察し、 戻ってから状況を説明、引き返すか否かを全員に問いました。このまま前進という全員の判断で雪道を進みます。 氷河を渡りますが雪の中に道しるべの赤い旗が2本立っていました。  雪は小降りですが視界は利かず、白一色で何も識別できないのです。ホワイトアウトとはこれを指すのかと 思いました。僅かに足跡を探して道を辿るのに懸命でした。
 出発後5時間でやっと山小屋に着きました。標高2690mで高くはないのですが雪道はきつかったです。 飲物を注文して前日調達した昼食を食べます。小屋には数人の 若い男女のグループがいました。
昼食を食べて元気になって小屋を出発! (同行者Oさんの撮影) 小屋は増築中。
杉のような葉は縁起の飾り
 雪のロッチェン峠


 1時間の休憩後小降りの雪の中を下ります。下りも急坂で雪と泥んこの道となり、滑らないように歩くのは 結構疲れます。雪がなくなって山腹をトラバースしますが途中のパラダイス・リリー花が一面にさいており ました。珍しいそうです。
 夏なのに思わぬ雪の峠越えとなり貴重な経験でした。歩くのに精一杯で写真を撮る余裕がありませんでした。ケーブルで麓におりますと夏に戻ります。 車でキッペル村に移動します。


キッペル村

 ローヌ河の一支流を遡ったところに村があります。開けた谷間で周囲は3,700n級の山脈に南北を挟まれています。 南面の斜面には別荘が沢山みられました。早朝村を散歩しましたが旧い木造家屋の農家が並び、昔ながらの水場も 見られました。
泊まったホテル・ロッシュベルグ  山腹に建つ別荘  斜面に建つ納屋や民家


 東西に通じるメイン道路を東に進むと駐車場です。ここから放牧場の広い谷間を歩きます。 途中は殆ど起伏がありませんが目的のアネン小屋近くなると急坂になります。この小屋で昼食の 予定だったのですが小屋は一部崩壊し、建設機械が作業中でした。作業員の話では前年の雪崩で 小屋が壊れ再建中とのことで営業はしていません。仕方がないので小屋の倉庫から飲物などを 取り出し、青空のしたで昼食です。アルプスでは自炊客のため、小屋の倉庫に置かれた箱に 相応の金を入れて、勝手に食糧を持ち出すことができるそうです。ハイカーはかなりいましたが 事前に知っていたのか私達のように戸惑っている様子はありません。この谷間は広いので ハイキング道は何本もあります。帰りは谷間から離れたやや高い山裾を廻って戻りました。 一旦ホテルに戻って預けた荷物を持って専用車でグリメンツに向かいます。
広い放牧場を歩く 道の終点近くの登りで 氷河の末端で堆積した砂礫の下から水が流れ出る

グリメンツー1 モイリー氷河

 グリメンツはキッペルの反対側、即ちローヌ河の南側の支流に開けた町で集落とホテルと店舗が かたまりながら散在している。泊まったホテルは写真のように4棟を連ねたような形で大きい。 近くの民家の屋根は板葺き、日本の神社のように薄くて細かい板ではなく厚い大きな板を使っている。
早朝の散歩道から見たホテル・アルビナ
窓一線に花を飾っている
ホテル近くの民家、屋根は板葺き モイリー湖から氷河に向けて出発

 スイスにはポスト・バスという公共(?)バスがあります。郵便馬車が起源で郵便集配の序でに 人を乗せたと言います。蛇足ですが9年前グリンデルワルトでクロイッツ&ポストという名の ホテルに泊まりましたがガイドによれば村の有力者の家が郵便の集配を行っていたと言います。 日本の三等郵便局もこれを真似して全国に郵便網を築いたのですね。
 ホテルのすぐ前からポスト・バスに乗ってモイリー湖に行きます。水力発電のためダムを建設して いますが、完工後はダム建設用の軌道を撤去して自然の姿に復元しているそうです。このような小さな ダムが沢山作られているそうです。
モイリー小屋の裏口、右から廻ればテラス 目の前の氷河、右下斜面は氷河が砕けながら滑り落ちている 振り返れば奧にモイリー湖と手前は駐車場のある沼


 ダムを一周するハイキング道も造られていますが私達は更に奧までバスで進みます。 モイリー湖の先に沼があり、駐車場の終点です。ここからモイリー氷河まで歩きます。 モレーン(氷河の堆積砂礫)を歩き、次いで岩山をジグザグに登って山小屋に着きます。 小屋のテラスで昼食です。目の前に氷河を見て、ジャガイモのラクレットソーセージのせと ビールで至福の時です(何時も食べて飲んでいるときは至福ですが)。
ケーブル駅のテラスです 山が多すぎて名を忘れました
今日は大威張りのテルテル坊主
(望遠)マッターホルンです!


 帰りはモイリー湖の近くから緩やかな道を登って峰の反対側(東側)に出て、 ケーブルでZinalに下ります。ケーブルの上の駅のテラスで周囲の山々を眺めてから 下りました。Zinalから車でホテルに戻りました。
グリメンツー2 サンルック村

 翌日やはりポスト・バスでサンルック村に出てケーブルで登り、イルホルン(2716m)、下って イル湖、また登ってベラ・トーレと縦走、途中で弁当の昼食。だらだら下ったり 登ったりでベラ・トーラの小屋で休憩、ここでも至福の時。ここからケーブル駅に下り サンルックの村におりました。
道の標識、全部距離でなく時間で案内している イルホルン頂上(Oさん撮影) ベラ・トーラ小屋のテラスで(Oさん撮影)

  左上の写真はハイキングコースの案内標識です。方向に従って地名と到達時間が書かれて おり、三角の先の赤い印は歩行の難易度を表しています。リフトとか小屋も記号で書いてあります。 これに比べると日本の山の案内は不親切ですね。丹沢では新しい標識は距離だけです。道の勾配や 整備状態で時間が違いますから距離だけでは必要時間が分かりません。
多くの山々が連なっています。モンブランもあるはず 村に戻ったら市が開かれていた

 スイスの山はこれでお終い、翌日チューリッヒから無事帰国しました。
 最後にスイスの花を掲げます。

    アルプスの三大名花、アルペンローザ、ゲンティアナ・クルスイ、エーデルワイス


左から パラダイス・リリー、お馴染みのアクマノツメ、アルペンローザ、ヤナギラン







最後はパラダイスリリーの咲くお花畑と、
花のある風景です。

(スイスの知られざる田舎を歩く 終わり)