アルプス2002(スイス・イタリア)−1
2002.8.20-30. △top page
ポントレジナからセガンチーニの山小屋へ


1.到着まで

 昨年のフランス・アルプスに続いて今年はアルプス東部のベルニナ山群とイタリア領チロル地方のドロミテ山群の一部を歩いてきました。 長いので4回に分けて掲載します。今回はその第1回目です。
 今回のツアーも昨年同様スイス在住の柿沼さんのつとめておられる旅行社にお世話になりました。この旅行社の案内は次にあります。
     http://www.cvm-alps.ch

 航空券は旅行社の斡旋で買いましたが成田空港で搭乗券の受け取り、荷物の預け入れ、保険手続き、両替を行います。一緒に行くのはA夫妻とS嬢で、A夫妻とは昨年のフランス・アルプスでご一緒でした。
 ドイツから東欧にかけて洪水の被害が報じられていましたので心配になり出発の前日にメールで照会したのですが出発当日に心配なしとの回答で安心して出発します。

 成田を12時に出発、飛行時間は約12時間、航空機は3発のMD-11、満席です。座席の前のポケットに機内食のメニューがありました。昼食は1時半頃。チキンはまずまずでしたが家内の選んだサーモンはパサパサで不味かったとそうです。一口ついた蕎麦はありがたかった。座席前のポケットにエビアンのミネラルウオーターの500cc瓶が置いてあります。昨年はなかったように思います。スイスで柿沼さんから聞いたところではスイス航空が破綻してからスイス中の多くの企業が新会社に参加したとのこと、エビアンも協力の見返りでしょうか。瓶のラベルを見ると神戸で瓶詰めされています。タンクでスイスから日本に送られ、瓶詰めされてスイスに戻る形。

   日本時間で昼に出てスイス時間で夕方に着きます。終始昼の午後ということになります。窓から見える風景を楽しみにしていたのですが雲が多くあまり見られませんでした。左上の写真はシベリアです。ポケットの飛行地図で見ると北極海に近い地帯です。川と沼地の広がる低湿地です。荒涼として人間の気配は全く見られません。そのうちに道路が見えて、小さな集落も見られるようになります。
 ウラル山脈を越える時は雲間から山々が見えましたが機上からは高さの感覚が分かりません。雪はあまり見られませでした。写真左は海に浮かぶ島々のよいに見えますが、元の写真が不鮮明で何とか分かるようにコントラストを上げたためです。

 途中1回おにぎりが配られ、スイス到着前に軽食が出されます。チューリッヒ空港に16:30頃到着。荷物も順調に出て玄関に来ましたが柿沼さんなかなか現れません。我々5人で電話だ、電話用の小銭だと騒いでいるうちに柿沼さんが見え、シャトル便でホテルへ。部屋に入るとTVに”Tsukamoto welcome”と写っています。気が利いていますね。ロビーに下りて現地集合のW氏を紹介されて軽い夕食後散会。現地時間に合わせて寝るため時間潰しに部屋に戻ってTVをつけましたが米国製マンガだけは分かりました。9時半頃就寝で第1日が終わりました。

2.二つの美術館

 昨日空港からホテルに来る時雨でした。この雨は直ぐ止みましたが今朝外を見ますと夜中にまた降ったようです。今回のツアーも終始雨に隣り合わせでしたが行動中降られたのは1回だけ短時間です。
我々の泊まったホテル(写真左)は空港と市街の間にあるようで住宅地のようです。朝近所を散歩しますとアパートから出勤する日本人らしい人も見られました。建築現場では働いている人もおります。早朝から建設関係で労働する姿は昨年も見られまして、勤勉かと思いましたが一説によれば出来高払いのせいとか。
朝ホテルからは中国人らしい団体客がバスで出発しました。
昨日空港からホテルにくる途中で土木工事が行われています。今日も街に行く途中で多くの建設現場が見られます。柿沼さんにスイスは景気がよいの?、と聞きますと空港周辺の大規模な工事が行われているとのことです。
写真右はチューリッヒ湖に沿って走る車の窓から撮影したものです。山の麓に林があって牧草地があって農家が散在して、見ている分には長閑な風景です。
今日の宿泊地ポントレジーナに行く途中ハイジの里に寄りました。物語が有名になってハイジの泉と像、さらに博物館(?)まで出来たのですから熱海のお宮の松どころではありません。日本のアニメのハイジは可愛いのですが子供達の募金で作られた石像は山野を駆ける野生児です。今日は霧雨で観光客は我々だけ、お上りさんらしく記念写真を。

割合大きな都市クールに行きます。広場に面したレストランで昼食、広場に広げられた卓で食べておりますと鳩が寄ってきます。昼食後カリジー美術館へ。カリジー生誕100年で多くの作品が集められて展示されています。童話に合わせた童画がありますが制作年代を見ますと第二次大戦中です。戦争の惨禍、喧噪から農村の童話の世界に逃れたのでしょうか。NHKの取材もあったらしいのでそのうちに放映されるかも知れ クールからサンモリッツに入るにはユリア峠を越えます。峠までジグザグの道を登りますが岩や礫の多い山肌は上まで放牧地です。牧畜には厳しい環境です。峠に達しますと売店が1軒。峠道の脇に右写真のように大きな石が置かれています。第二次大戦中枢軸側から攻め込まれた時、路上に動かして戦車の進入を妨げるためです。(戦争中、戦後の冷戦下でスイス武装中立を守るためにはトンネルの前後などの戦車濠、1年分の食料の備蓄、国民の95%を収容出来る原爆用待避壕、2日間で50万人(国民の10%)を動員出来る予備戦力など多くの努力があると聞いています)

ユリア峠を下り湖畔の道を行くとサン・モリッツです。近くにセガンチーニ美術館があります。写真左のように教会を思わせる建物で展示室は2フロアの小さな美術館です。
美術館の前からサン・モリッツ湖、サン・モリッツの町が展望できます。サン・モリッツはヨーロッパ有数のの山のリゾート地です。この都会化したサン・モリッツの奥、ベルニナの谷の入り口に閑静なリゾート地ポントレジナがあります。私達はここを基地に周囲の山のトレッキングをします。閑静と言えば柿沼さんのお話ではリゾート地ではシーズン中道路工事や店舗の大改装など"騒音"の出る工事は行いません。あくまで静謐に、そして静雅な時間を客が楽しめるようにします。
標高1800mを越えますので薄ら寒く、町に出て二人でセーターを買いました。北欧と違ってスイスの人たちはそれ程背が高いとは思えませんが、店で私たちの背丈に合うの探すのに苦労しました。

3.ポントレジナ

ポントレジナは谷間に延びた道の両側に作られた小さな町です。近隣の村と共に伝統的な外壁模様のスグラフィティがあります。外壁をノミで浅く削って模様を作り、削ったところに別の色をつけた装飾です。

ホテルの周りは花がいっぱいです。その中で銀紫色のアザミがありました(写真左)。空き地にも咲いていますが山の方には見あたらないので栽培種と思われます。

私たちが泊まったのはホテルの別館ですが、玄関脇に箒を立てかけています。よその家でも見られますのでこの地方の風習でしょうか。
もっともこの箒では空を飛べませんが。

4.セガンチーニの山小屋へ

いよいよハイキングです。朝目覚めると外は厚い雲は低く垂れ込めて今にも雨が降りそうです。予報では好天ということで町のバン屋さんで各自好みのサンドウィチを買い、バスで登山電車のプント・ムラーニ駅へ。駅の外壁も写真左下のようにスグラフィティで電車が描かれています。
登山電車で登りますと途中から雲を突っ切って雲の上にでます。右の写真は頂上駅ムオスタ・ムラーユ駅のテラスからの撮影です。ベルニナの谷は雲の下です。
ベルニナの谷に直角に東側に小さなムラーユの谷があります(左写真)。この左山腹を谷の奥の方に歩いて谷を越え、右手の山腹を登った稜線の先にセガンチーニの山小屋があります。画家セガニチーニがここで描き、ここで亡くなった小屋です。
残念ながら小屋の写真は取り損ないました。小さな小屋で大きさは水晶小屋を少し大きくしたくらでしょうか。
小屋の外のベンチで持参の昼食ですが風が冷たく震えました。スープが有名と教えられましたので頼みましたら押麦入りのスープで野菜の具も多く農民の食べ物でしょうか。
右写真はムラーユの谷に降りる山腹の道です。左下の写真は登山電車の山頂駅で赤い登山電車も見えます。
ハイキング道の片側は放牧地で牛の側を何度か通過しました。途中に農家の夏小屋も1軒ありました。写真で見られるように草も多いとは言えず牛にとって(農家にとっても)厳しい環境です。

写真上中は雪崩防止の鉄柵です。これが幾重にも連なります。右上は雪崩防止の石垣です。山肌の崩壊防止にも役立っているのま知れません。往時に造られたと思いますが地元住民の労苦が思いやられます。下はハイキングの途中で見つけた花です。

5.デアヴォレッツアの展望台

天気がたいへん良いのでセガニチーニの山小屋ハイキングから下りてからデアヴォレッツアの展望台に行きました。ここは明日行く予定でしたが展望の良いときにということで予定を変更したのです。臨機応変に行動できるのがこのツアーの特徴の一つです。車で駅に行きロープウェーで登ります。
山頂駅をでたところが展望台で一面の銀世界せす。ペルス氷河、モルテラッチ氷河の先にピッツ・ベルニナ、ピッツ・バリュなどの雪を纏った山容が連なります。望遠鏡で見ますと稜線を登るグループ、山腹をトラバースする登山者のグループが見られました。

写真左は山頂駅に隣接する山小屋形式のホテルです。ホテルの前に卓と椅子が並べられており、ここでビールを飲んでロープウェーの最終便の一つまでゆっくりしました。卓の背後が大きな鏡で前景が写ります。

ロープウェーを下りましたら丁度ベルニナ特急が着いたところでした。イタリアのティラノからサン・モリッツまで走っています。

  以下次号に続きます。