熊野古道 (和歌山県)

 2003.11. 7.

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伝説に満ちた古道の静寂、そして礼儀正しい人々


白浜に行く機会があり、日程に余裕がありましたので熊野古道を歩いてみようと思い立ちました。 熊野古道は田辺あたりからから西へ本宮までと漠然と思っていたのですが、本で調べますとそれはごく一部でした。 大阪から田辺を経て熊野への道(中辺路=なかへち)の他に、高野山からの小辺路、紀伊半島南岸を巡る大辺路、 吉野山からの大峰奧駈け道といろいろあります。今回は中辺路のごく一部を歩きました。

杉・桧林の下道

熊野古道のイメージは杉・桧の鬱蒼たる山道です。このイメージの場所とアプローチはインターネットで ほぼ調べました。選んだコースは滝尻王子から、不寝(ねず)王子、高原熊野神社、大門王子、十丈王子跡、 大阪本王子跡を経て近露(ちかつゆ)王子までの道です。

開けた山道のもみじ、これは植樹されたらしい。

王子と言いますのは熊野三山の御子社ないし摂社で約100あります。

コンビでおにぎりとお茶を買って田辺駅に行き、7:00発のJRバスに乗ります。乗客は私達夫婦以外はたった1人、 途中で乗降はありますが客が少ないのです。私達が降りる2停留場前から遠足姿の小学生が大勢乗って通学バスと 気がつきました。

滝尻王子停留場まで約40分、ここで下車、富田川に架かる橋を渡ると左手に滝尻王子社前の広場があります。 ここには無料休憩所とベンチがあり、朝食をとって、いよいよ熊野古道を歩きます。
始めはやや急登が続き標高差5-600m程登ります。この道は千年以上も前に、宇多上皇、花山法皇も 歩かれたこと坂道でしょう。一度登るとあとは緩やかな起伏の道です。途中で2ケ所林道と交差し、高原地区で 集落の中を通る以外は、ほぼ全域は右上写真のような樹林帯の下を歩きます。希に左上写真のように開けた山道も あります。
道幅は広く石段、木の段、石畳が随所に設けられています。石畳は見た目にはきれいですが濡れた落ち葉で滑りやすい。 道案内の標識はよく整備されていて二股道では熊野古道でない方に「古道ではありません」の標識が必ずあって たいへん親切です。

高原熊野神社

高原地区の展望、高原熊野神社近くの無料休憩所には「一望百峰霧高原」と書かれた大きな 額板が掲げられていました。


高原地区は傾斜地に拓けた集落です。旧旅籠と書かれた家が2軒見られましたので往時は熊野詣の主要な宿泊所 たっだようです。
「こから近露まで4時間、民家がありません」という町が設けた注意標識もありました。

平日でバスの乗客にハイカーも見られなかったので今日一日誰にも会わないでしょうね、と話しながら歩いていると、 急に子供達の賑やかな声が聞こえます。小学校の遠足だったのです。

遠足の小学生、集まって山の話を聞く

大坂本王子跡

先頭を歩く生徒さん達と話したのですが、実にしっかりとした受け答えなのです。 聞いていて気持ちのよい言葉遣いなのです。のびのびとしていて、しかもしつけの良さを感じます。 栗栖川小学校の生徒さん達でした。無論、私達と行き違うときに挨拶もきちんとします。
その後、もう一組の遠足と出合ました。道ばたで休んでいる私達に先頭の若い男の先生が「お騒がせします」と ことわられ、後に続く生徒さんたちも気持のよい挨拶をして行きます。こちらは鮎川小学校の先生と 生徒さんたちでした。学校で歴史と古道を学び、大自然の中を遠足で歩いて確かめる、いい授業ができますね。

王子のことは最初に書きましたが王子毎に右写真のような案内が設けられています。下に英文説明と行程の位置を 示しています。この他に500m毎に番号のついた「熊野古道」の標識もあります。町がかなり力を入れています。

牛馬童子像


箸折峠には牛馬童子の石像が道から一寸外れた高台の木陰にひっそりと建っています。 花山院の熊野詣の姿を模したと伝えられます。ということは牛や馬に乗って参られたということでしょうか。

ここまで来ますと予定した終点の近露王子は間もなくです。ベンチを置いた広場や休憩所を縫って舗装道路に 降ります。日置川を渡った左に近露王子の碑があります。

近露王子の碑、筆者は大本教祖出口王仁三郎と伝えられている



歩き始めて5時間半で終点に着きました。歩きやすい道です。途中で会ったのは遠足の小学生以外では私達と 逆コースを歩かれる中年夫婦1組と、大坂本王子付近で1組、こちらは引き返しました。それと山中でリスが 一匹道を横切りました。静かな熊野古道でした。 近露王子の近くで3人の方にいろいろと道を尋ねました。皆さんたいへんご親切で、見える所まで出て道を 教えて頂きました。
近露王子の近くに新しい近代的な建物の中辺路美術館があります。残念ながら当日は休館日でした。 周囲は公園になっておりグランドも整備されています。ここがバス停にもなっておりまして熊野古道の 案内板やベンチ、テーブルがあります。
約1時間半、ゆっくりした時間を過ごし、急行バスに乗車、白浜に戻りました。
帰途の空港で山登り姿のグループに尋ねましたら、滝尻王子から熊野本宮まで2泊3日のツアーで行かれた とのことでした。

(終わり)